葬儀のはなしは切り出しづらい…
「葬儀のはなしって、どうやって切り出せばいいの?」
なかなか良い方法がみつからなくて、はじめの一歩を踏み出せずにいませんか?
終活には、医療・介護・葬儀・お墓・相続・遺言など、たくさんの項目があります。
私は総合病院に勤めていて、ケアマネの資格も持っているので、医療や介護について、母とよく話をしています。
切り出すことに抵抗もないし、まったく困らない。
ただ、終活の中でも、「葬儀のはなし」を切り出しづらい…。
なぜなら、それは当然ながら、親が自分の死を想像し、それに直面することを意味するからです。
これを機に、親子の関係がギクシャクする可能性だってありますからね。
しかし、この話題を避けてしまうと、最終的に親の意志を尊重する機会を失ってしまうかもしれません。
うまく切り出せるタイミング、来ないかな~。
親の思いは「熱いうちに聴け」
ギクシャクしない切り出し方のコツはタイミングにあり!
オススメのタイミングは、「葬儀」に興味や関心を持ったときから、時間がたって忘れてしまうときまで。
私が実際切り出したのは、2回。
母が葬儀に参列したとき。そして、近所の人が終活をはじめたとき。
鉄は「熱いうちに打て」。親の思いは「熱いうちに聴け」。
ちなみにどちらも、好機を逃してはいけない!というたとえです。(後半は私の造語)
「近所のMさんが、娘と葬儀屋に打ち合わせに行くんだって。どこまで決めてくるんだろうね。」
続いて、
「80過ぎれば、何があってもおかしくないし、なにより家族に迷惑をかけたくないって言ってたよ。」
嫌そうな顔をしてエンディングノートを見ていた母が終活に興味を持ち、みずから終活のはなしを口にするようになりました。
ずいぶん変わったな~と思う反面、この興味は持続しない可能性がかなり高い(娘なのでわかります)。
つまり、親の思いは「熱いうちに聴け」なのです!
そこで、Mさんの「葬儀準備」のはなしをしながら、エンディングノートの「葬儀について」のページを一緒に見てみようと提案。
すると、「家族葬でこじんまり」でいいとか、
葬儀に呼ぶ人は
- 私と私の夫
- 弟の家族(弟夫婦と2人の息子)
- 母の姉弟(生きてれば)
これだけで十分、とか。
自然な形で思いを伝えてくれました。
さらに、母から「姉弟の連絡先はエンディングノートに書いておいた方がいいね」との言葉が。
こんな話をしたのは初めてです。
その後も、私と話をしながら、書けそうな項目は書き込んでいく母。
消せるボールペンを渡し、一度書いても、考えが変わったら書きなおせばいいじゃん!と伝えたのも良かったようです。
書くための情報を準備する
今後、思いは変わるかもしれませんが、現時点での思いを聴くことができました。
とはいえ、書けない項目があるのは当然。
葬儀形式や葬儀費用の予算については、もう少し考えたいとのこと。
確かに、葬儀社や葬儀プランなどの情報を集めてからじゃないと、書くのはむずかしいだろうし、一気に書く必要は全然ないですからね。
そこで、親のリクエストを聴き、私が代わりに情報収集を担当することになりました。
私たちの年代は、インターネットやSNSで知りたい情報が比較的簡単に手に入ります。
でも、親世代にはハードルが高い。
葬儀に限らず、お墓や介護施設などは、親の意見を尊重しながら必要な情報を子どもが収集するのがよさそうです。
この続きはまた次回!
【知っトク終活】葬儀にかかる費用は?
葬儀費用の予算を決めるためには、まずは、一般的な葬儀費用の相場を知っておくことが必要です。
葬儀費用はおもに3つ。
- 基本料金
- 飲食費
- 返礼品
2022年は全体的に、コロナ禍の影響で少なくなっていますが、寺社費用などの実費を含めると、かなりの高額になるようです。
葬儀費用の内訳
2020年 | 2022年 | |
---|---|---|
葬儀費用 | 184.3万円 | 110.7万円 |
① 基本料金 | 119.2万円 | 67.8万円 |
② 飲食費 | 31.4万円 | 20.1万円 |
③ 返礼品代 | 33.8万円 | 22.8万円 |
① 基本料金(固定費)
葬儀を行う際に必要な基本的な費用です。
- 斎場利用料
- 祭壇
- 位牌
- 遺影
- 遺体の搬送、保管
- 棺
- 火葬料 など
内容は、葬儀社によって異なるため、自分の希望がプランに含まれているか確認しましょう。
② 飲食費 (変動費)
通夜や告別式の参列者に対し、料理や飲み物を提供する飲食代です。
通夜振る舞い、精進落とし、ともいいます。
食事には明確な決まりがないため、親や家族が自由に決めることができます。
③ 返礼品代 (変動費)
通夜や告別式の参列者に渡す返礼品で、葬儀社に依頼するのが一般的です。
香典返しの内容や形式は、地域や習慣によって異なりますが、ブランド物のハンカチ、お茶、お菓子、酒、のり、プリペードカードや商品券などがよく利用されます。
飲食費と返礼品代は、参列者の人数によって費用が増減します。
寺社費用はわかりづらい
寺社費用は、葬儀社に支払う葬儀費用とは別に必要となる費用です。
金額が決められていないため、わかりづらい費用の1つ。
2022年の寺社費用は、平均22.4万円となっています。
読経料
僧侶にお経をあげてもらう際のお布施。いわゆる謝礼。
相場がわからないときは、菩提寺や葬儀社に相談してもよいでしょう。
菩提寺との付き合いがなく、寺社費用を抑えたい場合は、お坊さん手配サービスを利用する方法があります。
お坊さん手配サービスは、読経料、お車代、お膳料込みの費用が定額です。
また、追加で費用を支払う必要がないため、人気を集めています。
葬儀についてよくわからない私にとって、「定額制」はとても魅力的!
戒名料
戒名とは、仏教の修行者や信徒が亡くなった際に、その人の功徳をたたえ、供養するためにつけられる名前のことです。
戒名は、通常、僧侶によってつけられ、明確な価格がありません。
そのため、相場以上の戒名料を請求され、言われるがまま高額な戒名料を払ってしまい、トラブルになったケースも報告されています。
トラブルにならないために、あらかじめ戒名の種類と、目安となる相場を把握しておきましょう。
位号(戒名のランク) | 相場 |
---|---|
院号 | 100万円~ |
居士・大姉 | 50~80万円 |
信士・信女 | 10~50万円 |
父が亡くなったとき、祖父母の戒名を調べていたら、祖父に「院号」がついていました。なんと最高位ランク!
寺院にお墓がある場合は、戒名がなければ納骨できないのがルールです。
そのため、戒名をつけない場合は、公営墓地や宗教の制限がない民営墓地、永代供養墓や納骨堂などを選ぶ必要があります。