- お墓を継ぐときに必要な手続きを知りたい
- 引き継いだあとのお金が心配
- 祭祀承継者ってなに?
こんな悩みを解決できる方法があります!
終活ガイドのミガルは、このたび実家の「墓守」になりました。
この記事で紹介する「お墓の承継」の基礎知識を習得すれば、承継問題を解決する糸口をつかむことができます。
実際に、私もお墓の承継手続きする前に、重要ポイントを押さえておいたことで、トラブルが起きることなく、とてもスムーズな承継ができました。
記事の前半では「お墓の承継」の基礎知識、後半では承継手続きの流れとお墓の維持が難しいときの注意点を実体験を交えて、わかりやすく解説しますので、ぜひみてください。
「お墓の承継」の基礎知識
お墓は誰でも継げる
長男や長女がお墓を継ぐものと思われがちですが、実は、誰でも継ぐことができます。
なぜなら、法律上(民法897条)このように決められているからです。
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者が継承する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」
「第一子が務めること」とは一切書かれていません!
このように、次男、嫁いだ子ども、姪・甥、遠い親戚、友人なども、法律上はお墓を継ぐことができます。
祭祀承継者とは?
祖先を祀るために必要な財産を「祭祀(さいし)財産」といい、これらを受け継ぐ人のことを「祭祀承継者」といいます。
祭祀財産
- 系譜…祖先からの家系図
- 祭具…仏壇、位牌、神棚
- 墳墓…墓石、墓地
相続財産とは区別される
祭祀承継者になったら、財産を取得することで、相続税をたくさん取られるのではないか…。
しかし、この心配は必要ありません。
なぜなら、祭祀財産は金銭的に高価な品物であっても、一般の財産とは違った扱いをされています。
相続とは、誰かが亡くなったときにその人のお金や家、土地などの財産が次の人(通常はその人の家族)に移ること。
たとえば、親が亡くなったとき、親が持っていた家や土地やお金などの財産は、子どもや孫などに「相続」されますよね。
祭祀財産は、これらの相続財産と区別され、遺産相続の対象にはなりません。
そのため、祭祀承継者になっても、余分な相続税を支払う必要はありません。
原則、1人が祭祀財産を受け継いで管理することになっています。
家庭裁判所で相続放棄をしたら?
相続放棄とは、家庭裁判所へ申述し、相続人に発生した「プラスの財産」「マイナスの財産」、どちらの財産も一切相続をしないことです。
しかし祭祀財産は、「相続」ではなく「承継」という形をとることから、相続放棄をした人でも、そのままお墓を承継することができます。
相続放棄は実体験をもとに、こちらで詳しく解説しています!
祭祀承継者の優先順位は?
祭祀承継者の順位は、以下の3ステップで決めていきます。
前使用者(名義人)の指定
前使用者(名義人)が、遺言書などの書面に書き残しているとき、口頭で指定したときは、その人が承継します。
とはいえ、墓地や霊園によっては、「承継者は原則3親等まで」「原則親族のみ」などと決められていることが多いので、墓地の管理者へ直接問い合わせることをオススメします。
慣習、なければ家族の話し合い
遺言書などの書面や口頭で指定がなかったとき、一族の慣習、地域の慣習などで決めます。
最近では慣習がないことも多いため、結果的に家族の話し合いによって決めることが多いようです。
それでも承継者が決まらないときは、家庭裁判所が決める
家族で話し合っても承継者を決められなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立てて、審判によって、承継者を決めてもらうことになります。
お墓の承継は拒否できる?
祭祀承継者に決まった人は、法律上は祭祀承継者を拒否することはできません。
一方で、祭祀承継者は法律上の義務はありません。
そのため、承継した祭祀財産をどのように扱うかは祭祀承継者が自由に決められます。
相続人は、相続放棄すれば地位の拒否できるのに…。
たとえば、系譜や祭具はだれかに譲り渡してもいいですし、万一捨ててしまったとしても違法ではありません。
お墓であれば、墓じまいして、祭祀承継者の役割を終えてしまうこともできるのです。
墓じまいは、一般的にさまざまな手続きが必要で、多大な時間がかかります。
そのため、お墓の解体・処分から行政手続き代行まで行うサービスを利用する方法もあります。
費用はいくら?承継手続きの流れ
お墓の前使用者(名義人)が亡くなると、お墓の承継手続きをはじめることになります。
私が、お墓の名義変更手続き(公営墓地)を行ったときの流れと、必要書類をまとめてみました。
墓地管理者に連絡
まずは、墓地管理者に、使用者の死亡を伝え、名義人を変更するために必要な書類など、説明を受けます。
公営墓地の場合は市区町村役場(または管理事務所など)、民間霊園の場合は管理事務所、寺院墓地であればお寺などに連絡します。
必要書類を集める
必要な書類は墓地、霊園によって異なりますが、実際に集めた必要書類をご紹介します。
① 墓地(墓所)使用許可証
お墓を代々にわたって利用するときに必要な許可証で、最初に墓地を取得した時に発行されます。
この墓地(墓所)使用許可証があれば、名義人が変わってもお墓を続けられます。
私の場合、墓地(墓所)使用許可証が手元になかったため、手数料(600円)を支払い、再発行してもらいました。
手続きには時間がかかるので、仮の使用許可証をいただきました。
② 承継届・理由書
いわゆる名義変更届です。
お墓の前使用者(名義人)の住所・本籍・氏名など、新たに名義人となる人(私)の住所・本籍、連絡先電話番号、前使用者との続柄などを記載します。
裏面が理由書になっており、お墓の名義人(権利者)が令和〇年〇月〇日死亡したため、と書きました。
最近は、前使用者が高齢などの理由で生前に手続きをはじめる場合も増えています。
③ 前使用者〈父〉の死亡が記載された戸籍謄本
④ 前使用者の配偶者と子全員が載った戸籍(原戸籍)、各自の戸籍謄本など
⑤ 祭祀承継者〈私〉の住民票(本籍・筆頭者あり)
③④⑤は前使用者と祭祀承継者となる人の続柄を証明するために必要です。
また③は、前使用者の死亡を証明する目的もありますので、「死亡」の記載が入ったものを準備します。
原戸籍とは、1994年より前に作られた「古いバージョンの紙の戸籍」。コンピュータ上で保管される様式になったとき、削除されてしまった項目があるらしく、両方必要だったというわけです!
⑥ 前使用者の配偶者と子の同意書と印鑑登録証明書
⑦ 親等関係図
⑥⑦は、将来、起こるかもしれない家族内トラブルを回避するための書類です。
形式的に、祭祀承継者をどうしても1人に決める必要がありますが、「みんなに協力してもらう」ことを伝えておくと安心です。
名義変更の手続き
管理事務所などで、これらの必要書類を提出し、名義変更の手続きを行います。
書類がそろっていれば、30分もかからずに手続きは終了します。
手数料を支払う
名義変更の手続きをする際、手数料を支払います。墓地、霊園によって金額は異なりますが、公営墓地では数百円から数千円、民営墓地では数千円から1万円前後となっています。
私の場合、公営墓地で600円でした。
なお、寺院墓地の場合、手数料の代わりに(または手数料に加えて)、お布施を包むことも少なくないようです。
また、お墓の名義人だけでなく、檀家としての立場も引き継ぐことになるため、定期的な行事の参加を求められることがあります。
墓地使用許可証を入手
手続きから発行までに約2週間かかりました。
この許可証は、納骨や墓じまいをするときに必要となる大切な書類です。
いざというときに、すぐに取り出せるよう、保管場所を考えおきましょう。
承継した後にやるべきこと
維持費を負担
管理料の支払い
墓地を維持管理するために、毎年管理料を払う必要があります。
なぜなら、お墓を維持する間は、施設の水道代、清掃代といった費用がずっとかかりつづけるからです。
私の場合、管理料は年間で7,700円。
届いた「墓地管理料納入通知書(振込書)」は金融機関・市役所などで支払えます。コンビニ払いができないのが残念!
管理事務所の方のお話では、期限内に支払わなかったときは、延滞金を徴収され、さらに長期にわたって滞納が続いたときは、お墓の使用許可が取り消されることがあるそうです
マンションやアパートでいう、共益費みたいなものですね。
お布施・寄付金
寺院墓地の場合は、檀家としての対場も承継することになります。
そのため、金額と内容は寺社によりさまざまですが、お布施や寄付といった費用が発生することになります。
墓石のメンテナンス
墓石は屋外に建てられているため、必ず経年劣化していきます。
お墓参りに行ったときに、「汚れが気になる」「石が割れているのが気になる」と思ったときは、石材店にメンテナンスしてもらいます。
墓石に問題があるときに、そのまま放置してしまうと状態はますます悪化していきます。
最悪、大きな地震などが原因で墓石が落ちたり、倒れて割れてしまうこともあります。
料金は形や大きさ、建てた年代などにより費用は異なりますが、修理が簡単に済むうちにメンテナンスした方が、結果的に費用の負担は軽くなります。
大きな修理が必要な場合は、必ず見積もりをとって、納得した上で依頼します。
くれぐれも、高額な修理代金を支払って後悔することがないように注意してください。
お墓の掃除
気持ちよくお墓参りができるよう、定期的な清掃は不可欠です。
とはいえ、忙しくて、お墓参りに行けない…そんなときは、お墓掃除の代行サービスに依頼する方法もあります。
利用料金はサービスごとに異なりますが、1万5000円~2万円前後が多いようです。
法事・法要を執り行う
一周忌、三回忌などの法要、お盆やお彼岸など先祖の供養に関する行事を執り行います。
お寺との付き合いがない場合、法事・法要の僧侶の手配サービスを利用する方が増えています。
お布施は「お気持ちで」って、曖昧すぎる!
そのようなとき、定額制はとても魅力的です!
お墓のあり方を決める
祭祀承継者は、自分の状況にあわせて、これからのお墓のあり方を決めることができます。
なぜなら、お墓を継ぐことができても、将来的にお墓を続けていけるかどうかはわからないからです。
たとえば、
- 家の近くの霊園に引っ越したい
- 跡継ぎのいらないお墓にしたい
- 菩提寺を変えたい
などの理由で、遺骨を移したいとき、お墓の名義人である祭祀承継人が自分の判断で行えます。
維持が難しいときの注意点
親の終活の一環として、元気なうちに家族で話し合っておくことが大切です。
なぜなら、家族・親族といったつながりが薄れ、お墓に対する価値観も一人ひとり変化しているからです。
具体的には、承継者になる人がいない、遠方に住む子どもが承継者になると負担をかけてしまう場合は、墓じまい・お墓の引っ越し(改葬)を検討します。
また、霊園・寺院が永年にわたり管理・供養してくれる永代供養墓も選択肢の一つになります。
「お墓は長男が継ぐもの」「子の代、孫の代と続いていくに違いない」という思い込みをなくして、家族にとって一番いいと思われるお墓のあり方を、ぜひ話し合ってみてください。
自分の亡くなった時の葬儀の形式などは、祭祀承継者が中心となって決めることが多いため、葬儀についても話し合っておくとよいでしょう。
まとめ
- 法律上、お墓などの祭祀財産は誰でも承継することができる
- 祭祀承継者は拒否できないが、祭祀財産の処分は自由にできる
- お墓の維持が難しくなったら、墓じまい、お墓の引っ越し(改葬)の検討をはじめる
「祭祀承継者」は、生前に遺言書などで指定されていれば、それが優先されますが、一般的には家族間の話し合いで決まることがほとんどです。
そして、祭祀継承者が決まると、基本的に断ることはできませんが、承継した祭祀財産の処分方法は、自由に決められます。
核家族化やライフスタイルの変化により、承継したお墓を維持していくことが難しい。跡継ぎがいない。
そのような理由から、墓じまいをするケースも増えています。
詳しくは下記の記事で紹介していますので、あわせて読んでみてください。
>>お墓を移すのは本当によくないの?リスクと注意点を徹底解説
Q&A
【PR】記事内に広告を含みます