- ゆうちょ銀行代理人カードの作り方を知りたい
- 代理人として親の代わりにお金を引き出したい
- 親の口座の残高や明細を確認し、相続など将来的なトラブルを避けたい
ゆうちょ銀行代理人カード利用までの体験談を紹介します。
本業は総合病院(眼科)に勤務しています。医療系FPとしてセミナー講師・地方紙でコラムを連載した経験があります。がんサバイバーの母と終活をはじめるために終活ガイド1級、さらにエンディングノート認定講師資格を取得しました。
あなたは「2025年問題」という言葉、一度は耳にしたことがありませんか?
1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」が、2025年に後期高齢者になります。その結果、医療や介護サービスの需要が大幅に増え、これに対応するための仕組みや費用が大きな負担になると予想されています。
私たちは「超高齢化社会」で、さまざまな問題に備えれていかなければいけません。
今、私が一番身近に感じているのは、やっぱり我が家の親のこと。もし親が入院中や外出しづらくなって、自分でお金をおろせなくなったとき…
「親のカードでおろしていい?」
「立て替えなきゃいけないの?」
こんな悩みを抱えていた家族の一人でした。
そこで一歩ずつ、解決の道を探していこうと考えたのが、ゆうちょ銀行の「代理人カード」です。
この記事では
- ゆうちょ銀行の代理人カードを使用できる人とは?
- 代理人カードの作り方から利用までの流れ
- 知っておきたい!代理人カードの注意点
について、実体験をもとにわかりやすく解説します。
この記事を読めば、親の委任状がなくても引き出せる方法がわかり、銀行取引をスムーズかつ安全に代行するための道筋が開けるでしょう。
- 高齢になり、生活のサポートが必要になってきた
- 親が元気なうちにやれることはやっておきたい
という方は、この記事をぜひ参考にしてみてくださいね。
ゆうちょ銀行の代理人カードを作ったきっかけ
どうする?2025年問題
団塊の世代といわれる「戦後のベビーブーム世代」が、すべて75歳に達するのが2025年です。
そして、高齢者世帯の家族構成を見ると、高齢者全体の1/3(570万世帯)は単独世帯になると見込まれています。
高齢者の割合が増えると、医療や介護がパンクするよね。
75歳、後期高齢者の仲間入りよ。
医療や介護の問題はよく取り上げられますが、日常生活における「銀行取引」も、親と家族が直面する課題の一つとなってきます。
銀行取引で困るケースが増えている
外出が困難になる
高齢になると体力や運動能力が低下し、介護が必要になると外出がむずかしくなるケースが増えてきます。
特に冬場や悪天候の日は、道が滑りやすくなるため転倒のリスクが高まるでしょう。万一ケガをしてしまった場合、日常生活が困難になる可能性もあります。
銀行まで足を運ぶのは「一苦労」以上の問題だね。
みがるがキャッシュカードでおろせばいいんじゃない?
原則本人以外は使えないって。家族でもだめらしいよ。
操作の複雑さ
銀行取引は、ATMやインターネットバンキングを中心にデジタル化が進んでいます。多くの手続きが効率的になった一方で、操作が複雑化。ATMやインターネットバンキングの操作は、高齢者にとって負担となるケースも増えています。
スマホ決済とか便利だよ。
スマホでお金のことやるのは不安だわ。
記憶力の低下
高齢になり記憶力が低下した場合、銀行取引でさまざまな問題を引き起こします。たとえば「暗証番号を忘れた」、「どの口座にいくら入っているのかわからない」といった問題が起こるかもしれません。
暗証番号は覚えてるでしょ?
今は大丈夫だけど、忘れっぽくなってきたね。
緊急時の対応
本人が銀行取引を行えないため、突然の入院や急な支払いが必要になったときは家族が急遽対応することになります。
もしもの時はまたよろしくね。
いざという時に引きだせるルートを確保しておかないと…。
詐欺リスク
高齢者は特に、電話やインターネットによる詐欺に弱いとされています。
高齢者の大切な貯金を狙ったものが多く、一度被害にあうと取り返しのつかないことも少なくありません。
近所の人から、怪しい電話かかってきたって聞いたよ。
怖いわ…親のお金を守る方法ってあるのかな。
インターネットで検索してみると問題を解決できそうな「代理人カード」を発見。代理人カードは多くの金融機関で発行でき、母の使っている「ゆうちょ銀行」の口座でも作成できるとわかりました。
代理人カードは、口座名義人(母)の代わりに特定の取引ができるもので、まさに私たちのようなケースにピッタリ。
ゆうちょ銀行で代理人カード作ってみない?
よくわからないけど、代理人カードでできることは?
ゆうちょ銀行の代理人カードとは?
代理人カードでできることは?
代理人カードは「2枚目のキャッシュカード」のようなもの。
代理人として指定された人は、代理人カードを使い、指定された口座で入金や出金、ゆうちょ銀行の口座間での送金や、他金融機関への振込みができます。
親が入院しているときや外出がむずかしいときに、家族が代わりに日常のお金の出し入れや、急な医療費などを支払えます。
今使ってる家族カードと同じもの?
あれはクレジットカード、代理人カードはキャッシュカードだね。
ICキャッシュカードで安全
ゆうちょ銀行の代理人カードは、ICキャッシュカード(ICカード)。偽造しにくい特殊なICチップが入ったキャッシュカードで、昔の磁気カードより安全です。
代理人カードは発行手数料が無料
ゆうちょ銀行では、高齢者やその家族が銀行取引をより簡単かつ安心して行えるためのサービスとして「代理人カード」を発行しています。
サービスの利便性や高齢者をサポートするという意味もあるそうで、代理人カードの発行手数料は無料です。
ただし、カードを紛失し再発行する場合は、1,100円かかりますので注意が必要です。
長く使ってカードの磁気が悪くなった場合は、無料で新しいカードに交換してくれます。
認知症などで判断能力を失うと作成できない
二枚目のキャッシュカードは、家族が申し込みできるの?
申し込めるのは、口座名義人本人(母)だけだよ。
つまり代理人カードの発行手続きをする時に、親自身がしっかりと判断できる力があることが大切です。たとえば、認知症などで判断能力を失うと、カードを作成できません。
でも、「具体的にどれくらいの状態なら作れるの?」という疑問、ありますよね?
その答えを求めて質問してみたところ、「自分の名前や住所がちゃんと書けて、口座の暗証番号も覚えていれば、問題なくカードを作れる」と教えていただきました。
元気なうちに作成した方がいいよ。
そうね、作りに行ってみようかね。
ゆうちょ銀行で代理人カードを作成するのに必要なもの
代理人カードを作るときに持っていくものは?
本人確認書類は、マイナンバーカードのほか、以下でも手続き可能だよ。
- 代理人キャッシュカード届書(銀行に備え付けてあります)
- 銀行印
- ゆうちょ銀行の通帳
- 本人確認書類
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 旅券(パスポート)
- 在留カード
- 療育手帳
- 戦傷病者手帳
- 精神障害保健福祉手帳
- 身体障がい者手帳 など
知っておきたい!代理人カードの注意点
ゆうちょ銀行の窓口で申込み手続き
代理人カードを申し込むときは、営業時間内にゆうちょ銀行の窓口で手続きする必要があります。窓口手続きは通常、必要書類や通帳などを持参して、銀行スタッフと直接やり取りしながら進められます。
いろいろ質問できてよかったね。
郵送やインターネット申込みの受付はしていないんだね。
代理人カードの発行は1枚のみ
ゆうちょ銀行の代理人カードは、1つの口座につき1枚のみ発行可能です。
1日あたりの利用限度額がある
ATMでお金を出し入れするとき、不正利用から守るため、代理人カードにはいくつかの安全策が取られています。
まずは日々の取引での上限額設定。初期設定では、利用限度額は50万円が上限ですが、限度額は変更できます。
たとえば、上限を20万円に設定している場合、代理人カードを使って1日に20万円までしか引き出せません(送金も含む)。
50万あれば、ほぼ大丈夫でしょ。
たくさん引き出すときは、日を変えて引き出せばいいからね。
大きな金額の取引を一度で行うときは、代理人カードではなく親のキャッシュカードが必要です。ゆうちょ通帳アプリによる「ATM生体認証」サービスが開始しましたが、代理人カードで利用はできません。
ATM生体認証とは?
ICキャッシュカードによるATMのお取引開始前に、「ATM生体認証」機能を使って認証しておくと、ATMでの取引が15分間、最大500万円まで可能になります。
ゆうちょ銀行の代理人カード発行方法は?
1.口座名義人の情報を記入
「代理人カードを作成したい」と銀行スタッフに伝えると、手続きに必要な書類を用意してくれました。
2~3分あれば書ける内容で、とても簡単。
この「代理人キャッシュカード届書」は、代理人カードを発行するときに必要な申請書です。ここで大切なのは、書類の記入は口座名義人自身が手書きで行わなければならないという点です。
つまり、代理人や他の家族が代わりに記入することは許されていません。
全ての項目を記入した後、この書類の最後に銀行印を押します。この銀行印は、口座を開設した際に登録したものと一致している必要があります。
2.利用代理人を登録
次に代理人となる人の登録が必要で、届書には、私の名前、住所、電話番号など、基本的な情報を次々に書き込んでいきます。
そのとき銀行スタッフから「このカードは”打ち出の小づち“なので、書類は口座名義人が書いてください」と念を押されました。
私が書いちゃダメなんだね。
打ち出の小づちって、うまいこと言うわね。
代理人カードが不要になった場合も、口座名義人本人が廃止手続きを行うことになるそうです。つまり…代理人(私)が同席する必要はありませんでした。
代理人カードを使うのは私なのに。
手続きはママがやるってことね。
3.通帳・必要書類(本人確認書類)を窓口に提出
書類などに目を通し、必要な情報が正確に記入されているか、適切な書類や情報が欠けていないか、確認してくれます。
新たに口座開設するときも基本的に流れは同じです。
4.親の住所に届くなど受け取り方法の説明
提出後に番号札を受け取り、待合エリアで10分ほど待機。その後「代理人カード」は口座名義人の住所に届くため、私の手元に届かないなどの注意点を丁寧に説明してくれました。「代理人キャッシュカード届書」のコピーも受け取り、これにて手続きは完了です。
代理人カードも審査があるのね。
確実に発行できるとは限らないんだね。
5.仮の暗証番号・代理人カードが別々に届く
代理人カードの発行手続きを行った日から6日後、カードの使用に不可欠な「仮の暗証番号」が口座名義人である母の住所に届きました。
あくまで「仮」の暗証番号なので、後で変更が可能です。仮の暗証番号が届いてから2日後、代理人カードも母の住所に到着。別々の封書ですが、どちらも簡易書留で届きました。
ゆうちょ銀行の代理人カードは誰の名義?
こんな感じで、私名義だったよ。
「代 スズキ ミガル」
送られてきた代理人カードは私専用のものとして作成されているので、使えるのは私だけです。
代理人カードの発行まで2週間程度必要だと聞いていましたが、実際は8日で到着しました。とはいえ余裕をもった手続きをおすすめします。
6.代理人カードの暗証番号を設定
母から代理カードを受け取ってすぐ、暗証番号を変更することに。暗証番号を変更する手順は、このように書かれていました。
安全のためにも新しい番号に変えた方が良いね。
どこで変更するの?
お早めにお客さまご自身がご利用しやすい暗証番号へ変更されますことをお勧めします。
お近くの郵便局の貯金窓口またはゆうちょ銀行のほか、ATM(現金自動預払機)でも暗証番号の変更ができます。
ATMですぐに変更できました。とてもカンタン。
ATMに代理人カードを差し込むと各種取引メニューが表示され、「暗証番号変更」ボタンを選択します。
「お預入れ」「お引出し」「通帳記入」だけじゃないんだね。
全然気がつかなかった。
そして画面に表示される指示に従って、
- 届いた仮の暗証番号を入力
- 新しい暗証番号を入力
- もう一度新しい暗証番号を入力
…これだけです。1分でできます。
変更したのは代理人カードの暗証番号のみ。母の暗証番号はそのままです。もしキャッシュカードの暗証番号を忘れた場合、以下の流れで再発行します。
- キャッシュカード、通帳、お届け印、身分証明書を準備
- お近くのゆうちょ銀行や郵便局の窓口で申請
- 数日後、新しい暗証番号が書かれた手紙が簡易書留郵便で届く
7.家族がATMでお金を引き出す
手続きが終わると、代理人(私)がお金を引き出せるようになります。
口座名義人(親)が解約しない限り、ずっと使えるよ。
解約するつもりはないから、ずっと持ってて。
ゆうちょ銀行代理人カードで引き出してみた!
ゆうちょ銀行で代理人引き出しは、できるようになったの?
早速、出金と振込みしてみたよ。
お金を引き出し(出金)
まずはじめに、暗証番号を変更した代理人カードを使い、お金を引き出してみました。
- 普通のキャッシュカードと同じように、ATMに代理人カードを挿入
- 新しく設定した暗証番号を入力
- お金を引きだす
暗証番号を変更したばかりでも、問題なし!
もっと早く作ればよかったね。
母に記帳してもらい、通帳を確認しましたが、代理人カードを使って出金したという取引の記録はありませんでした。
代理人カードを使ったこと、書いてあった?
通帳は、いつもと変わりないよ。
そこで口座からお金を引き出したら、どちらが引き出したかをメモすることにしました。お金のトラブルを未然に防ぐ手助けになりそうです。
ゆうちょ銀行の口座に送金(振込)
代理人カードを使っての送金(振込)も特別な違いはありませんでした。
- 普通のキャッシュカードと同じように、ATMに代理人カードを挿入
- 暗証番号を入力
- 送金先(振込先)を記号・口座番号を入力
- 依頼人名は「口座名義人(母)」でよいかの確認
- 送金(振込)する金額を入力
送金(振込)の依頼人名は「口座名義人(母の名前)」です。
なぜなら代理人カードの目的は、母の代理として銀行と取引を行うこと。そのため、代理人カードの表面に私の名前が記載されていても、実際の取引を「依頼した人」は母になるわけです。
代理人カードQ&A
- ゆうちょ銀行の代理人カードの作り方は?
-
ゆうちょ銀行の代理人カードは、口座名義人が直接銀行窓口で手続きします。
必要な書類は代理人キャッシュカード届書、銀行印、ゆうちょ銀行の通帳、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)です。
- 代理人カードでできることは?
-
代理人カードを使用して、指定口座からの入出金、ゆうちょ銀行や他金融機関への振込が可能です。
親が外出できないときでも、家族が代わりに資金の管理を行えます。
- 代理人カードの注意点は?
-
代理人カードは1口座につき1枚まで発行でき、利用限度額が設定されています。
さらに、口座名義人が判断能力を失った場合は発行できないため、元気なうちに手続きするのが望ましいです。
- 代理人カードの暗証番号変更方法は?
-
代理人カードの暗証番号は、郵便局の窓口またはATMで変更できます。
仮の暗証番号が郵送された後に、本人が設定した新しい番号に変更可能です。
【まとめ】親の生活をサポートするツール
- 発行手続きは、口座名義人本人が直接銀行窓口で行う。
- 利用限度額が設定され、不正利用を防ぐ安全措置が取られている
- お金の管理だけでなく親の安全や健康面にも気を配る必要あり!
ゆうちょ銀行の代理人カードは、親の銀行取引を家族が安心して行えるように作られたツールです。
代理人カード持っていれば、親の委任状がなくてもATMを使ってお金を引き出せるので、スムーズにかつ安全に代行できるでしょう。
ただし代理人カードの発行には、口座名義人が手続きする必要があります。
元気なうちに作っておくべきだね。
親の日常生活をサポートするとき、代理人カードはとても役立ちますが、お金の管理だけでなく安全な暮らしや健康面にも気を配る必要があります。社会生活には支障がない「認知症予備軍」も増えてますからね。
離れて暮らす親の心配は尽きません。もし変化に気づくのが遅れてしまったら、自分の生活にも影響が出る可能性だってあります。
「高齢者見守りサービス」使ってみない?
75歳になったし、考えてみようかしら。
今後「高齢者見守りサービス」は、超高齢化社会において、親の安心・安全な生活をサポートするとき必須のツールになるでしょう。
選ぶべきサービスは、高齢者の生活スタイルや健康状態、そして離れて暮らす家族の安心感をどれだけ満たせるかで異なります。
こちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいね。
「これだ!」という見守りサービスが、きっと見つかりますよ。
>>高齢者見守りサービス12社を比較!【令和版】心配を安心に変える方法