介護保険の手すりはレンタルか工事か|違いと費用・月100円で選んだ方法

この記事で解決できるお悩み
  • 実家に手すりはあるのに、親の転倒が心配・どこに付けるべきか分からない
  • 介護保険で手すりを「レンタル」するか「住宅改修工事」にするか迷っている
  • 要介護認定がない場合や、工事前に損をしない申請の順番・費用を知りたい

私の実家のトイレにも、お風呂にも、玄関にも、手すりは付いていました。

それでも母は、転びました。

それはある朝、布団から立ち上がろうとした、その瞬間でした。

あなたのご実家にも、手すりはありますか。

では、寝室には、ありますか。

医療現場に27年、ケアマネジャーや福祉住環境コーディネーターの資格も持っています。

正直に書きます。さまざまな知識を持っていたはずなのに、いざ自分が当事者になったら、私は何も見えていませんでした。

「手すりが付いている家だから大丈夫」と、思い込んでいたんです。

この記事を読み終わるころには、「明日、あそこに電話してみよう」と思えているはず。

制度を全部覚える必要はありません。

あなたが最初にやることは、電話を1本かけることなんです。

目次

手すりがある実家でも高齢者が転ぶ理由|母が「寝起き」に転倒した実体験

制度の話に入る前に、まずわが家で起きたことを聞いてください。

この一件がなければ、私もいまだに「うちの実家は手すりだらけだから安心」と思い込んでいたはずです。

トイレもお風呂も玄関も手すり完備!だから完全に油断していました

母が今の家に引っ越したとき、私が真っ先に確認したのが手すりでした。

トイレにある。お風呂にもある。玄関にもある。

「これだけ付いていれば、まず大丈夫!」

あのときの私は、心の中でチェックリストに自信満々で丸をつけていました。母の安全はこれでバッチリ確保できた、と。

写真で見ても、けっこう立派ですよね。

実際、一般的な家と比べても手すりの数はかなり多いほうだと思います。

「手すりが付いてるから平気」と思っている方、いませんか?

数年前の私が、まさにその状態だったんです。

転倒したのは、朝の布団から立ち上がろうとした瞬間でした

母はベッドではなく、昔からずっと布団派です。畳の部屋で寝て、朝になったら自分でたたむ。何十年もそのスタイルを続けてきた人です。

その日の朝も、いつも通りに起き上がろうとしました。

床から立ち上がるとき、手をつく場所がどこにもなかったんです。壁までは遠い。

そして近くにあったのは、そばに置いてあった丸椅子だけ。

母の布団のそばに置いてあった丸椅子

母はそこへ、無意識に体重をあずけてしまいました。

もちろん椅子は、体を支えるための手すりではありません。

ぐらりと傾いて、母は椅子ごとひっくり返り、そのままコロンと転がってしまいました。

幸い、ケガはありませんでしたが、今回は、たまたま何事もなかっただけ。

畳の上だったから。転がった先に、たまたま角のある家具がなかったから。

次も同じように無傷で済む保証なんて、どこにもありません。

そして、ハッと気づいたんです。

母がつかまったのは、「動くもの」だったんだ、と。

椅子、キャスター付きワゴン、カラーボックス。

家の中を見渡すと、高齢の親がつい手を伸ばしてしまいそうな「動くもの」だらけです。

この部屋には、その瞬間に体重をあずけられる「動かない手すり」が1本もありませんでした

親は転んだことを隠す。「転んでから対策」では遅い理由

しかも私がこの転倒を知ったのは、転んだ当日ではありません。しばらく経ってからの雑談中でした。

「なんで教えてくれなかったの?」と聞くと、母は申し訳なさそうにこう言いました。

だって、言ったら怒られると思ったんだもの。

怒らないよ。隠されちゃうのが一番こわいんだよ。

怒られると思ったから、黙っていた。

これ、決してわが家だけの話ではないはず。

親って、子どもに弱みを見せたがらないんですよね。

心配をかけたくないし、「まだ元気でいたい」と思っている。そして何より、注意されるのがちょっと怖いんです。

だからこそ、ここに大きな落とし穴があります。

「転んでから対策する」では、そもそも間に合わないんです。

転んだこと自体を、子どもに教えてくれないのですから。

あなたの親は、ヒヤッとしたこと、本当に全部話してくれているでしょうか?

手すりがあっても転ぶ?わが家で後から気づいた3つのこと

母が転んでから、私は「あんなに手すりがあったのに、どうしてだったんだろう」とずっと考えていました。

当時の私は、手すりの数ばかり気にしていて、母の毎日の暮らしや動き方までは想像できていなかったんだと思います。

手すりを付ける場所を調べると、玄関や廊下、トイレ、お風呂といった場所がよく出てきますよね。

もちろんそれも大切なんですが、わが家の場合は「立ち上がったり向きを変えたりする瞬間」に手をつく場所がありませんでした。

「気づいてあげられていなかった」のはこの3つです。

気づき①:寝起き|布団派の母には、起き上がるときの手すりがなかった

足腰のことを考えるとベッドにするご家庭も多いと思いますが、母はずっと畳に布団を敷いて寝る生活を続けてきました。

ただ、床からよっこいしょと立ち上がるときって、思っている以上に力がいります。

しかも、布団のまわりには体を支えられる壁がありません。

「布団の生活のまま、立ち上がりを支える」という選択肢として、床に置く手すりがあると知ったのは、母が転んだあとのことでした。

気づき②:お風呂・洗面脱衣室|手すりがあっても「掃除」や「着替え」で届かない場面があった

お風呂に手すりがあると水回りは安心な気がしていましたが、実は母、手すりが付いているはずのお風呂で「お風呂掃除」をしている最中に足を滑らせてしまったんです。

幸い、近くにあった手すりとっさにつかめたため、しりもちをつく程度で大事には至りませんでした

手すりがあったおかげで最悪の事態は防げたものの、床をこすったり前かがみになったりする「掃除の体勢」では、壁の手すりだけでは体重をしっかり支えきれない場面もあるのだと痛感しました。

さらに、脱衣室も同じでした。

濡れた足で立ったり、ズボンを脱ぎ履きするときに片足立ちになったりして、脱衣室も意外とふらつきやすい場所です。

実家の浴室ドアのところには縦の手すりがありましたが、これは「出入りするため」のもの。

服を脱ぎ着する場所からは少し離れていたんですよね。

手すりがあっても、「入浴以外の動作(掃除や着替え)」で体を支えたい瞬間にしっかり届く位置にあるかが大切なんだな、と深く反省した出来事でした。

昨年、夫の実家の脱衣室には、頑丈な手すりがつきました。

夫の実家の脱衣場に取り付けた手すり。服の脱ぎ着でふらついたときもすぐ手が届く位置

気づき③:部屋の真ん中|歩く動線には「自立する杖」を選ぶ

手すりは壁に付けるものですが、普段の暮らしでは部屋の真ん中を歩くことも多いですよね。

ふいに振り返ったり、テーブルから立ち上がってトイレへ向かったりするとき、どうしても片足に体重が乗る瞬間があります。

そこでふらついたとき、壁の手すりまでは手が届かないので、近くにある家具につい手をついてしまうんだと思います。

母が丸椅子に体重をあずけてしまったのも、そのとき一番近くにあったのが、たまたまその椅子だったからでした。

実は最初、トイレに行くまでの動線や部屋を歩くときのために、「置き型の手すり」を置くという案もありました。

ただ、実際に暮らしをイメージしてみると、部屋を歩くスペースに手すりがあると結構邪魔になってしまうんですよね。

そこでわが家では、部屋の中に手すりをいくつも置くのではなく、主に家の中で使うための「自立する杖」を介護保険でレンタルすることにしました。

介護保険でレンタルした、手を離しても倒れない家用の自立式杖

手を離しても倒れずにその場に立ってくれるので、部屋の中に置いておけます。

普段は邪魔にならない場所に置いておき、足の調子が悪いときや夜中にトイレへ行くときにサッと使う。

この形が、部屋を狭くせず、母の暮らしにも一番合っていました。

手すりのある場所より「ふらつく動作」を見る|わが家で役立った見直し方

制度のお話しに入る前に、実家を見直すときにすごく役に立った「見方」をひとつご紹介させてください。

当時の私は「ここに手すりがあるから大丈夫」と場所ばかり見ていましたが、大切なのは手すりの場所ではなく、親がどんな「動作」をしているかだったんですよね。

家の中でこんな動きをするとき、つかまる場所はあるでしょうか。

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ふだんの動作起きる場所つかまるものは?
立ち上がる布団・ベッド・ソファ・トイレ壁・手すり・家具?
向きを変える部屋の中央・廊下の角手すり・杖?
またぐ浴槽・玄関の上がりかまち壁・手すり?
段差を降りる階段・敷居・上がりかまち手すり・壁?
靴を履く・脱ぐ玄関椅子・手すり?
服を脱ぐ脱衣室手すり・洗面台?

こうして「動作」で見ていくと、「あ、ここは手をつく場所がないかも」というポイントが自然と見えてきます。

そして、もうひとつおすすめしたいのが、実家に帰ったときに親の後ろをそっと歩いてみることです。

どこで手が伸びているか。何をつかんで体を支えているか。どこで一瞬足が止まるか。

前を歩いていると気づけない親の細かな動きが、後ろから見守るように歩くと驚くほどよく分かります。

「手すりの数」よりも、親の「ふらつく動作」に目を向けてみると、必要なサポートが見えてきやすいですよ。

介護保険の手すりは2種類|「レンタル(貸与)」と「住宅改修(工事)」の違い

手すりが必要かもと思ったとき、まず知っておきたいのが「どうやって手すりを用意するか」の分かれ道です。

まずはこの2つの違いを整理してみました。

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項目福祉用具貸与(レンタル)住宅改修(工事)
何をする置き型・突っ張り型などを借りる壁などにビスで取り付ける工事
費用の目安月額 数百円程度(1割負担)工事費の1〜3割を自己負担
上限額月々の支給限度額の範囲内生涯で20万円まで
(リセット条件あり)
事前申請不要
(ケアプランに位置づけて開始)
【必須】
着工前に申請しないと自費
やり直しいつでも位置を変えられる・返せる一度付けると動かせない
向いている場所壁のない場所
(布団の脇・部屋の中央)
壁のある場所
(廊下・階段・トイレ・玄関)

※自己負担割合や自治体の運用によって金額は変わります。

介護保険を使って手すりを用意する方法は、実は「借りる(レンタル)」と「工事する(住宅改修)」の2つに分かれています。

これは似たような制度ではなく、まったく別の仕組みなんですよね。手続きも、お金の出方も、使える上限額も全部違います。

ところが、この「2つのルートがあること」自体を知らないまま調べている方がとても多い気がします。

①福祉用具貸与(レンタル):工事不要な置き型・突っ張り型手すり

ひとつめが「福祉用具貸与」、つまり介護保険を使って手すりをレンタルする仕組みです。

借りられる手すりは、基本的に「取り付け工事をしないもの」になります。

  • 据置型(床にポンと置いて使うタイプ)
  • 突っ張り型(天井と床で突っ張って固定するタイプ)
  • ベッド用手すり(ベッドフレームなどに差し込むタイプ)

壁に穴を開けてネジで留めるタイプはレンタルできないので、そちらは次の「工事」の対象になります。

ちなみに、車いすや介護ベッドなどは「要介護2以上」などの制限がありますが、手すりや歩行補助杖は、要支援1の方からすべての区分でレンタル対象になっています。

「うちは要支援だから…」と心配しなくても大丈夫です。

②住宅改修(工事):壁に手すりを取り付ける制度

もうひとつが「住宅改修」、いわゆる工事です。

壁に手すりを取り付けるような決められた工事に対して、1人あたり20万円を上限に費用の7〜9割が支給される仕組みです(自己負担は所得に応じて1〜3割)。

この「20万円」については後ほど詳しくお話ししますが、「20万円がそのままもらえるわけではない」ということだけ覚えておいてくださいね。

そして工事を考えるときに、絶対に知っておいていただきたい大切なポイントがあります。

住宅改修は、工事を始める前に申請を出しておかないと、保険の支給が受けられません。

急いで先に工事をしてしまうと、あとから領収書を出しても全額自費になってしまうトラブルがとても多いんです。

まずは「先に工事しちゃダメ」とだけ頭に入れておいてください。

介護保険の手すり費用相場|わが家の置き型手すりは月100円でした

一番気になるのは、やっぱり「実際いくらかかるの?」というお金のことですよね。

相場のお話しをする前に、まずわが家が実際に支払っている金額からお伝えします。

介護ベッドではなく「置き型手すり」を提案された理由

母が転んだ直後の私は、「布団が危ないならベッドにすればいいのかな」と単純に考えていました。

ところが、相談に来てくれたケアマネさんの提案はまったく違うものでした。

「ベッドを置くと部屋が狭くなっちゃうから、布団の下に台座を敷く、置き型のはしご型手すりを使ってみませんか?」

正直、目からうろこでした。

母が長年慣れ親しんできた布団での暮らしを変えずに、危ない立ち上がりの瞬間だけをそっと支える。

この提案には本当に救われました。

手すりレンタルの費用相場と自己負担額(月額数百円〜)

そして実際に母が借りた置き型手すりは、1割負担で月100円でした。

母が実際にレンタルしている置き型のはしご型手すり。布団の下に台座を敷いて設置

母は自立する杖も一緒に借りているので、2点合わせても月200円

設置してしばらく経ったころ、母が電話で「あれね、起き上がるときにすごく安心なのよ」と笑顔で話してくれました。

あんなに一人で抱え込んで悩んでいた時間が、すっと軽くなった瞬間でした。

ちなみにこの手すりは、担当のケアマネさんが交代した今もそのまま使い続けています。

一般的なレンタルの相場も載せておきますね。

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手すりの種類月額レンタルの目安(1割負担)
据置型(床に置くタイプ)月100円〜300円程度
突っ張り型(天井と床で固定)月300円〜500円程度

※自己負担の割合(所得により1〜3割)や事業者によって多少前後します。

住宅改修(工事)の費用|20万円の支給限度基準額とリセット条件

一方で、壁に手すりを取り付ける「住宅改修工事」を選ぶ場合は、お金の仕組みで知っておくべきポイントがあります。

  • 支給限度基準額は原則20万円:介護保険の住宅改修には、原則として20万円の「支給限度基準額」があります。これは20万円まで全額が介護保険から支給されるという意味ではなく、自己負担割合に応じて1~3割を負担します。
  • 20万円の範囲内で分けて使える:一度に使い切る必要はなく、「今回はトイレ」「必要になったら玄関」と分けて申請できます。
  • 手すりは「レンタル」か「住宅改修」:介護保険では、工事を伴わない手すりは「福祉用具貸与(レンタル)」の対象です。一方、壁などに手すりを固定する取り付け工事は、「住宅改修」として介護保険の対象になる場合があります。
  • 20万円枠のリセット条件:原則として生涯で1人あたり20万円ですが、「改修を行った時点の介護度から3段階以上上がった場合」や「転居した場合」など、一定の条件を満たすと再度20万円まで利用できる仕組みがあります。

ちなみに母の認定も、この1年半で要支援1 → 要介護1 → 要支援1と動きました。

介護度は体調によって変化するものなので、このリセット条件も覚えておくと安心です。

【償還払いとの違い】一時的な立て替えを減らす「受領委任払い」とは?

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支払い方式最初に払う金額特徴
償還払いいったん全額を支払うあとから7〜9割が口座に戻ってくる
受領委任払い自己負担分(1〜3割)だけ残りは役所から業者へ直接振り込まれる

工事費用を全額立て替えるのが大変なときは、最初から自己負担分だけで済む「受領委任払い」が便利です。

ただし、自治体によって制度自体の有無や「自治体に登録された施工業者に限る」といった条件が異なるため、相談時にこう確認してみてくださいね。

「住宅改修で、自己負担分だけ支払う『受領委任払い』は使えますか?」

手すりはレンタルと工事どちらを選ぶ?迷ったときの判断基準

2つの制度が分かったところで、「じゃあ、うちはどちらを選べばいいの?」と迷いますよね。

場所や状況によって、向き不向きがあります。

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選ぶ基準レンタル(福祉用具貸与)工事(住宅改修)
住まいの環境賃貸住宅
(壁を傷つけたくない・原状回復が必要)
持ち家
(または家主の承諾が得られる場合)
設置する場所壁のない場所
(布団の脇・部屋の中央など)
壁のある場所
(廊下・階段・トイレなど)
身体・暮らしの状態・体調の変化に合わせて位置を変えたい
・本人が握ってくれるかまず試したい
・付ける位置がしっかり決まっている
・置き型だと歩くスペースが狭くなる

もし迷ったら、わが家は「まずレンタルで試してみる」のをおすすめします。

工事で一度壁に穴を開けてしまうと、あとから「やっぱり位置が合わなかった」「邪魔だった」と思っても簡単には戻せません。

①まず相談する → ②借りて試す → ③必要なら工事する

この順番を意識するだけで、無駄な出費や失敗を防げます。

寝室は置き型レンタル、廊下は工事、といったように場所ごとに組み合わせても大丈夫です。

介護保険の手すりの相談窓口はどこ?最初の連絡先と注意点

手すりを検討するとき、いきなりリフォーム業者に電話するのは避けてくださいね

相談先は、親の今の認定状況に合わせて選べば迷いません。

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親の状況最初の相談先
要支援1・2地域包括支援センター
要介護1〜5担当のケアマネジャー
まだ認定を受けていない市区町村の介護保険窓口、
または地域包括支援センター

【最重要】住宅改修は必ず「着工前」に事前申請が必要な理由

ここがポイント!

住宅改修は、工事を始める前に市区町村へ事前申請を出さないと、後から領収書を出しても1円も支給されません。

「親が転んで心配だから早く付けたい!」と急ぐあまり、申請前に工事を済ませて自費になってしまう方がとても多いです。必ずケアマネジャーや包括支援センターに相談してから進めてくださいね。

私が最初にケアマネさんに電話したときも、「布団じゃなくてベッドにしたほうがいいんでしょうか」という漠然とした相談でした。

それでもすぐに家まで見に来てくれて、母の暮らしに合った置き型手すりを提案してくれました。

難しく考えず、まずは電話で相談してみることから始まります。

要介護認定がない・非該当の場合は?|自治体独自の助成制度とDIY

「うちはまだ介護認定を受けていないから、制度は使えないかも」と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。

でも、諦める必要はありません。介護保険以外にも手すりを設置する方法があります。

① 市区町村独自の「高齢者向け住宅改修助成」を活用する

実は多くの自治体で、介護保険とは別に「高齢者自立支援住宅改修給付」などの独自助成制度を用意しています。

要介護認定が「非該当」だった方や、まだ認定を受けていない高齢者でも対象になる場合があるんです。

私の夫の実家でも、義両親は介護認定を受けていませんでしたが、この市独自の助成制度を活用して脱衣室に手すりを取り付けました。

自治体の助成を活用して取り付けた夫の実家の脱衣場手すり

自治体によって制度の名称や補助額、条件は異なりますが、お住まいの役所(高齢福祉の窓口など)にこう聞いてみる価値は十分にあります。

「介護保険の認定がなくても使える、高齢者向けの住宅改修助成はありますか?」

② 手すりを自分で取り付ける(DIY)ときの注意点と下地確認

助成を使わずに、ホームセンターなどで手すりを購入して自分で取り付けるのもひとつの方法です。

夫の実家の玄関は、DIYが得意な夫が手すりを取り付けました。

両親から「つけてほしい」とリクエストがあったそうです。

夫が実家の玄関に取り付けた手すり

ただし、DIYで取り付ける場合は「固定する場所」に十分注意してください。

石膏ボードの壁に直接ビスを打ってしまうと、体重をかけた瞬間に手すりごと根こそぎ抜けてしまい、大きな事故につながります。

必ず壁の中にある柱や間柱などの「下地」をしっかり確認して固定するか、補強板(ベースプレート)を取り付けてから設置してくださいね。

【場所別の選び方】トイレ・浴室・玄関・廊下の手すりと見え方の工夫

手すりを検討するときに役立つ、場所ごとの特徴を一覧表にまとめました。

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場所向いている手すりの形選び方のポイント
寝室(布団)置き型(レンタル)布団の下にベースを敷いて固定。
暮らしを変えずに立ち上がれる
トイレL字型(工事)便座から「立つ(縦)」と
「向きを変える(横)」を1本でカバー
浴室・洗面脱衣場縦型・L字型(工事)ドアの出入りだけでなく、
着替えでふらつく位置を意識する
玄関縦型・上がりかまち用靴の脱ぎ履きや段差をまたぐときの支えに
廊下・階段水平型・階段用(工事)手を離す瞬間を作らないよう、
なるべく連続して取り付ける

目の専門職の視点:手すりの「色・コントラスト」と「人感センサー足元灯」

私は普段、病院で「目や見え方の専門職(視能訓練士)」として働いているのですが、その立場からもどうしてもお伝えしたい工夫があります。

年齢を重ねると、暗い場所に目が慣れるまでに時間がかかったり、色の濃淡(コントラスト)が見分けにくくなったりします。

  • 手すりの色:白い壁に白い手すりをつけると、夜間は見えなくなります。壁とコントラストのある色(木目や濃い色)を選ぶと、とっさに掴みやすいです
  • 足元灯とのセット:手すりは「掴む場所」、足元灯は「見える状態」を作る道具。夜のトイレルートには人感センサーライトを置くのがとても効果的です

母の家で実際に使っている人感センサーライトの使い心地はこちらにまとめています。

手すりは「予防」。転んだときに「気づく仕組み」はありますか?

最後に、ひとつだけ正直にお伝えしたいことがあります。

手すりを付けたり杖を用意したりして、どんなに万全に対策をしても、転ぶときは転んでしまうことがあります

本当に怖いのは、転んで動けなくなったときに、離れて暮らす家族が何時間も気づけないことなんですよね。

転ばないように支えるのが「手すり」なら、万が一のときにすぐ気づけるようにするのが「見守り」です。

この2つが揃って、はじめて本当の安心がつくれるのだと感じています。

わが家で実際に使っている見守りデバイスは、こちらの記事で詳しくまとめています。

【Wi-Fiなしでも使える】高齢者見守りセンサー&カメラ8選|らくらく設置で今すぐ安心!

高齢者の手すり設置でよくある質問(Q&A)

手すりを嫌がる・「まだ要らない」という親にはどう話せばいい?

「年寄り扱いされた」と感じて拒否される親御さんはとても多いです。その場合は「将来のため」「転んだら私が心配だから安心させて」と気持ちを伝えるか、工事ではなく「まず置き型手すりや家用の杖をお試しで1ヶ月だけ置いてみよう」とハードルを下げるのがおすすめです。

相談してから実際に手すりが使えるまで、どれくらい日数がかかる?

すでに要支援・要介護の認定がある場合、置き型手すりのレンタルなら数日〜1週間程度で搬入できます。住宅改修工事の場合は、見積もり・理由書作成・自治体の事前申請・施工まで含めて約2〜4週間程度が目安です。

賃貸住宅やマンションでも手すりは付けられますか?

置き型や突っ張り型の「レンタル」なら壁を傷つけないため、賃貸でも問題なく利用できます。壁にビスで固定する「住宅改修工事」を行う場合は、大家さんや管理会社の承諾書が必要になります。

屋外(門から玄関までのアプローチなど)も住宅改修の対象になりますか?

日常生活で通る必要がある範囲であれば、屋外の手すり設置や段差解消も住宅改修の対象になる場合があります。自治体によって細かな判断基準が異なるため、事前にケアマネジャーや窓口へご相談ください。

手すりのレンタル料や工事費は「医療費控除」の対象になりますか?

福祉用具のレンタル料は原則として医療費控除の対象外です。住宅改修工事については、一定の要件を満たす場合に自己負担分が医療費控除や税制優遇(所得税控除など)の対象となるケースがあります。適用条件はお近くの税務署や自治体窓口でご確認ください。

まとめ|電話を1本かけることから始めてみませんか

手すりがある家だから大丈夫。

そう思い込んでいた私が、母の転倒をきっかけに学んだのは「完璧な制度の知識」ではなく、「親の毎日の動きにそっと寄り添うこと」でした。

布団からの立ち上がりが危ないなら、床に置く手すりを借りてみる。
歩くスペースが狭くなるなら、自立する杖を選んでみる。
壁のない場所や、夜間の暗がりにも目を配ってみる。

制度のややこしいルールをすべて丸暗記する必要はありません。

専門職が一緒に考え、動いてくれる仕組みがちゃんと用意されています。

もし今、親のふらつきが少しでも気になっているなら、ぜひ明日、地域包括支援センターやケアマネジャーに電話を1本かけてみてください。

その小さな一本が、あなたと親のこれからの安心に、きっとまっすぐつながっていきますよ。

わが家の気づきが、少しでもお役に立てたら嬉しいです

「あとで見返したいな」と思ったら、Pinterestにピンしておくのがおすすめです。

ご自身のボードに保存しておくと、いつでもチェックできますよ📌

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